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働き方

出社回帰はなぜ進む?オフィスに期待される役割と環境づくりのポイント

コロナ禍を経て、離れた場所から勤務するテレワークが急速に広がりましたが、いま日本の職場では「出社回帰」の流れが強まっています。単に元の働き方に戻るのではなく、オフィスの意味や役割を見直す動きも活発になっています。

本コラムでは、出社回帰が進む背景とその理由、働く人がオフィスに求める機能や環境改善のポイントについてご紹介します。

出社回帰の現状

まずは、テレワーク実施率の変化について、データをもとに現在の状況を確認してみましょう。

データで見る出社回帰の実態

公益財団法人日本生産性本部が毎年実施している「働く人の意識調査」によると、2025年1月の第16回調査では、テレワーク実施率が14.6%と調査開始以来の最低値を記録しています。
2025年7月の第17回調査では16.8%とわずかに持ち直しているものの、新型コロナの5類移行後(2023年7月調査以降)の平均は15.6%にとどまっており、出社回帰の流れに大きな変化はないようです。

参考:第17回 働く人の意識調査(公益財団法人 日本生産性本部)

https://www.jpc-net.jp/research/detail/007482.html

ハイブリッドワークの定着

とはいえ、出社回帰が進んでいるとはいってもテレワークが完全になくなるわけではありません。

国土交通省の「令和6年度テレワーク人口実態調査」によると、雇用型テレワーカーの割合はコロナ禍のピーク時よりは低下しているものの、コロナ前と比べれば高い水準を維持しており、テレワークが一定程度定着していることがわかります。
そんな中で注目されるのが、週1〜4日の出社とテレワークを組み合わせる「ハイブリッドワーク」です。

テレワークを継続したいと答えた雇用型テレワーカーのうち、7割以上が「週1日以上の出社」を希望しており、「どちらか一方に偏らない」「業務や場面に応じて働く場所を使い分ける」というスタイルが、新しいスタンダードとして定着しつつあります。

参考:「令和6年度テレワーク人口実態調査」(国土交通省)

https://www.mlit.go.jp/toshi/kankyo/content/001879091.pdf

なぜ出社回帰が進んでいるのか?

テレワークが一般的に普及し、場所に捉われずに働くことができるようになった一方で、職場では様々な課題が明らかになってきました。
出社回帰が進む背景には、おもにコミュニケーション不足や組織としての一体感の低下、そして会社への帰属意識の希薄化といった問題があげられます。

それぞれくわしく見ていきましょう。

対面コミュニケーションの重要性の再認識

Web会議やチャットなど、オンライン上で完結するコミュニケーションはとても便利です。しかし、表情や声のトーン、場の空気感といった非言語的な情報は、画面越しではどうしても伝わりにくいものです。
オンラインコミュニケーションでの微妙なニュアンスの行き違いから、「生産性の低下」や「意思決定の遅れ」が生じるケースも少なくありません。

また、オフィスで交わされる日常的な雑談や気軽な会話がなくなることで、チームの相互理解や情報共有が進みにくいという問題も発生しています。

デジタル技術の活用が進んだからこそ、対面のコミュニケーションがもたらす情報量と相互理解の価値が改めて見直されているのです。

組織力強化と人材育成の必要性

オフィスはただ仕事をこなすだけの場所ではなく、組織の文化や価値観を日々の関わりの中で自然に受け継いでいく場でもあります。顔を合わせて話すことで、時には部門を越えたつながりが生まれ、組織全体の一体感や協力の質が高まるといわれています。

さらにオフィスは、人材育成の観点からも重要な役割を担っています。新人や若手社員が上司や先輩の仕事の進め方、判断の仕方をそばで見て、実践的なスキルやビジネスマナーを身につけることも多いでしょう。

中堅・管理職にとっても、対面でのディスカッション・フィードバックがリーダーシップやマネジメント力を磨く機会となります。組織の将来を担う人材の育成において、直接顔を合わせることの必要性が再認識されているのです。

ワークエンゲージメントの向上

テレワークが長期化するにつれて、帰属意識やモチベーションが低下してきたと感じる社員の声も増えていきました。

同僚と顔を合わせ、同じ場所でチームとしての雰囲気を肌で感じながら働くことは、「自分はここで必要とされている」という実感を自然につくり出します。エンゲージメントの観点からも、出社回帰が進むケースが見られています。

オフィス環境が働く人に与える影響

とはいっても、ただオフィスに社員が戻るだけでパフォーマンスが上がるわけではありません。社員が力を発揮できるかどうかは、働く環境の「質」に大きく左右されます。

ここでは、イトーキが日本で働くオフィスワーカー5,000名を対象に行った調査(WORKPLACE DATA BOOK 2025)をもとに、オフィス環境が働く人に与える影響についてくわしく見ていきましょう。

6割超が「環境がパフォーマンスに影響する」と実感

WORKPLACE DATA BOOK 2025によると、オフィス環境が仕事の生産性に影響すると感じている人は63.5%、モチベーションへの影響を実感している人は67.0%、帰属意識への影響を感じている人は57.3%にのぼります。

6割を超える人が、働く場の環境と自身のパフォーマンスのあいだに、明確な関係を感じていることがわかります。

変化するオフィスの役割

こうした認識の高まりは、オフィスに求められる役割の変化とも重なります。
かつてのオフィスは在籍人数と席数を合わせた、効率重視の設計が主流でした。しかしコロナ禍を経て「対話を生む場」としての意義が問い直され、現在では「優秀な人材を惹きつけ、エンゲージメントを高める場」として経営戦略の一部に位置づける企業が増えています。

オフィスへの投資は、採用競争力や離職率といった経営の根幹に直結する問題になっているのです。

出社回帰の進むいま、働く人がオフィスに求めるもの

出社する意義を感じてもらうためには、「オフィスに来る理由」となる機能や価値を備えることが求められます。
WORKPLACE DATA BOOK 2025では、働く人がオフィスに期待する環境として次の4つが上位に挙げられました。

【オフィスワーカーが求める4つの機能(イトーキ調査より)】

期待する機能

肯定回答率

心身を健康に保つ空間品質性の高いオフィス

約80%

個人の自己裁量で多様な活動を行える空間機能のあるオフィス

約76%

移動性が高い働き方ができるITツールが使える環境

約71%

テレワークなどの柔軟性が高い働き方ができるオフィス運用

約70%

注目したいのは、「必要だと思うが、いまのオフィスには十分に備わっていない機能」を聞いた設問でも、上記と同様の項目が上位に挙げられている点です。

たとえば「心身のリフレッシュを自分のペースでとれる場所」「集中できるスペース」「電話・Web会議専用スペース」など、いずれも必要性は広く認識されているにもかかわらず、現実のオフィスへの整備はまだ追いついていないケースが多く見られます。
このギャップこそ、いまのオフィス環境づくりで最優先に取り組むべき課題といえるでしょう。

理想的なオフィス環境を実現する4つのポイント

出社回帰に伴って社員が働きやすい環境をつくるために、とくにおさえておきたいポイントを4つご紹介します。

1.多様なワークスペースの配置

集中して作業に向き合いたい場面と、チームで自由に話し合いたい場面、そしてWeb会議に参加する場面では、求められる空間の性質が異なります。

WORKPLACE DATA BOOK 2025によると、コロナ禍以降にオフィス環境を変化させた企業の取り組みとして、「Web会議に対応した空間」が49.4%と最多を占め、「変化に応じて使い方を変えられる柔軟なレイアウトの整備」も40.4%に達しています。
個人向けの集中ブースと、ふとした会話が生まれやすいオープンエリアをうまく組み合わせることで、多様な働き方に応えられるオフィスが実現できます。

フリーアドレスの導入も、空間の活用幅を広げる手段として幅広く取り入れられており、イトーキが移転・リニューアルに携わったオフィスでの採用率はじつに80.2%に達しています。

2.ウェルビーイングに配慮した環境づくり

「居心地が良い」と感じてもらえるオフィスにするには、スペースの種類だけでなく、そこで過ごす時間の「質」への配慮が不可欠です。

自然光が差し込む明るいレイアウトは体内時計を整え、集中力の向上や気分の安定につながります。観葉植物などの自然要素は、視覚的なリラックス効果も期待できます。

音環境も大切なポイントです。「集中エリア」を静かに保ちながら、「コミュニケーションエリア」と「リフレッシュエリア」とはメリハリをつけた設計にすることで、ストレスの原因になりやすいノイズを自然に分散できます。

人間工学に基づいた什器の選定や、換気・空調による空気環境の管理も、長時間働く人の心身のコンディションを支える重要な要素です。

3.偶発的なコミュニケーションをつくるデザイン

WORKPLACE DATA BOOK 2025によると、コロナ禍以降に組織全体のコミュニケーション活性化につながる環境整備に取り組んだ企業は38.6%、部署を越えた偶発的なコミュニケーションが生まれる空間づくりに着手した企業は34.1%に達しており、「人と人が交わる仕掛け」への投資は着実に広がっています。

具体的には、プリンターや文具ステーションを動線沿いに配置して偶然の出会いをつくる、気軽に腰かけられるカフェ風スペースや立ち話に適したハイカウンターを設ける、といった工夫が効果的です。

4.ハイブリッドワークを支えるICT環境

出社とリモートを組み合わせるハイブリッドワークが定着したいま、オフィスにいる社員とリモートの社員が対等に協働できるICT環境の整備は、オフィスづくりの前提条件ともいえます。社外との打ち合わせもオンラインで行われることが一般的になり、高品質なビデオ会議システムや情報共有ツール、モバイル対応の設備といったテクノロジー面の充実が、日々の業務効率を大きく左右します。

道具を揃えるだけでなく、スペースの稼働状況や会議室の利用データ、社員のコンディションを継続的に収集・分析することが次のステップです。
「どのスペースが使われていないか」「どの時間帯に会議室が足りないか」といった課題が数字で見えてくれば、感覚ではなくデータをもとにオフィスを改善できます。この「オフィスDX」の発想こそ、変化の速い時代に柔軟に対応し続けるための鍵です。

方向性が定まらないとき、データ収集・分析の体制づくりが難しいときは、専門家に相談することも視野に入れてみてください。

出社回帰に向けたオフィス環境づくりはイトーキにおまかせください

出社回帰がうまくいくかどうかは、「社員にどうやって出社させるか」ではなく「出社したくなる環境を用意できるか」にかかっています。

オフィスづくりのご支援を行うイトーキ自身も、従業員満足度の観点からオフィス改善に取り組んできました。実際にオフィスを改修した職場では、「家族や知人に薦めたい」というエンゲージメントスコアが改善し、インターンシップ応募数は50%増加するなど、環境への投資が人と組織に着実に働きかけることを実感しています。

こうした知見をもとに、イトーキでは多様なワークスタイルに対応した家具・空間設計から、ハイブリッドワークを支えるICTソリューションまで、オフィス環境づくりをトータルでサポートしています。
東京・日本橋の本社オフィス兼ショールーム「ITOKI DESIGN HOUSE TOKYO」では、最先端のワークスタイルと働く場を実際に体感していただくことも可能です。

「なにから手をつければよいか分からない」という状況でも大丈夫です。出社回帰を組織の成長につなげるオフィスづくりをご検討の際は、まずはイトーキにご相談ください。

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